縦長3:4のマスキングおよびトリミングによるハーフサイズカメラ化の第一弾は、フジのX-T1で試みました。
ひとつ前の記事に書いたように、背面モニターに3::4になるよう自前でマスクを付けて撮影し、撮影後に画像を3:4にトリミングするという手です。
〔1〕マスクの作成
マスクをどう作るかについては、シンプルに何かテープを貼ればよいだろうと考えました。
〔1-1〕マスクを貼る位置の決め方について
3:4の画面になるようにフル画面の左右を均等に覆えば良いわけですが、なるべく正確にしたいところです。デジカメにはモニター画面に方眼を表示する機能が何かしら付いているので、それを利用することにします。X-T1の表示設定のメニューにもフレーミングガイドというのがあり、9分割と24分割から選べます。一方、今求めたい3:4のフレームは3:2(=6:4)のフルフレームの左右を均等にカットして半分の長さにしたものになります。もし、横も縦も4つに分かれている16分割のガイドだったら、その左右の端から一つ目の縦のラインがちょうど3:4トリミングの左右のラインとなるので、正確な目印となります。でも残念ながらX-T1には16分割のガイドは用意されていないので、24分割ガイドを利用しました。ガイドラインの中間のところを物差しで測って印をつけて目印とします。モニター画面には保護フィルムを貼ってあるので、そこにペンで印を付けるのに全く躊躇はしませんでした。
*ちなみに、ニコンのZfやZ5には16分割のガイドライン(格子線表示)が用意されているので、画面を3:4にマスクするのはより簡単で正確に行えるものと踏んでいます。Zfcも同様のようです。リコーGRにも、16分割のグリッド表示があるようですね。
〔1-2〕マスクに使うテープの種類について
テープの種類は、まずマスキングテープの類が思いつきました。パーマセルテープの黒いやつも一番最初に考えたのですが、位置とか関係なしに貼るのだけ試してみると、粘着力が強すぎて、貼り直しがしずらいので候補から外しました。次に黒いマスキングテープを貼ってみると、何回かのやり直しでうまく目印通りに貼ることができました。貼る際には、カメラをONにして、ガイド表示ONにしておきます。白い無地のものが映し出された状態にしておけばガイドやつけた印が見やすいです(画面が暗いとガイドも印も見えなくて作業できません)。
だがしかし、これではダメだということがすぐにわかりました。全くダメというわけではないのですが。
いざ操作してみようと思ったら、マスクしたところは、撮影範囲が隠されるのはもちろんうまくいっているのですが、画面に表示されている撮影設定情報も隠れて見えなくなってしまうのでした。メニュー操作も同様に、文字が隠されてどうしようもできない状態になります。いやいや、なるほど、そうなりますよね。
ただ、X-T1は、電子ビューファインダーも備えているので、そちらをみれば撮影設定情報を全部見ることもできるし、メニュー操作もできます。実際この状況でいけるのか、街中での撮影を試してみましたが、さほど支障なくできることはわかりました。まあ、これでよしとするのでもよいかもです。でも、表示されているものが全部読めないのはとても居心地が悪いし、また、他の電子ビューファインダーを備えていない機種には通用しないやり方になってしまいます。
そこで、モニターの表示が少し透けて見えるような、透明のものならよいのではないかと考えました。
文具屋の中で探したところ、マスキングテープを含めてテープ類で良さげなものは見つからずあきらめかけましたが、インクジェットプリンター用紙のラベルシールで透明のものを見つけました。これなら、自前でグレーのベタ塗りしたものを印刷して適当なサイズに切って貼ればできそうです。ベタ塗りのグレーの濃度を変えれば、透明の濃度の調節も自在にできるだろうし。また、ラベルシールの中でも、剥がせるタイプのものを選びました。
シールの自作は、テープ類を使うのと違って、サイズをピッタリにすることもできる点も都合が良かったです。サイズは、モニターのパネルのサイズではなく、モニターの上に貼ってある保護フィルムのサイズに合うようにしました。ベタ塗りのグレーの濃度がどれが良いか試した結果、黒(黒100%)に近いかなり濃いグレー(黒90%)のものが良い感じになりました。貼る位置の微調整もあって、何度も貼り直しを行う必要があったので、剥がせるタイプのものを選んで正解でした。
透明度の具合は良いと思います。透明のところが見えすぎて邪魔に感じることはないのでマスクとしての機能を十分果たしますし、逆に表示を見ようと思えばそちらも十分に読み取ることができます。見栄え的にも、不透明のマスキングテープよりも、何かを貼っている感が薄れて良い感じです。
| "X-T1 Half" のモニター(撮影時):液晶モニターの表面に透明のラベルシールで3:4マスキングを施したもの |
| "X-T1 Half" のモニター(クイックメニュー表示時)。マスクした部分の視認も十分できる。 |
| "X-T1 Half" のモニター(メニュー表示時) |
〔2〕撮影後のトリミング作業について
撮影後のファイルは、RAWファイルであれば、フジから無料で提供されるRAW FILE CONVERTER EXを使って、3:4のトリミングができます。X RAW STUDIO はX-T1に対応していないので、ここでは使えません。RAW FILE CONVERTER EXでのトリミング操作は少しややこしいのですが、「トリミング領域設定」ツールの「領域設定方式」で縦横比を4:3にセットします。ツールウィンドウの右側にあるトリミング適用ボタンを押せば、センター合わせで横長4:3のトリミングがされます。ここで、どういうわけか、縦横比の4:3の前後を入れ替えて3:4にセットしたとしても、同じ横長の4:3のトリミングしかできないようです。横長の4:3のトリミングを適用したのち、画像表示の中心にある+印のすぐ右に表示される回転のマークをクリックします。これで、縦長の3:4トリミングになります。この作業を一コマごとに行うのは結構つらいわけですが、縦長3:4トリミングした状態を「現像パラメータの保存」でパラメータとして保存することができるので、適当な名前をつけて一度保存してしまえば、「現像パラメータの読み込み」を適用して、いつでもどのコマでも、ワン操作で縦長の3:4トリミングをすることができるようになります。複数コマを選択して全部一度に適用させることもできます。
ところで、個人のPC環境の問題なのかもしれませんが、RAW FILE CONVERTER EXには別の問題があって、画像保存先に外付けドライブ(SSD)を使用しているのですが、トリミングを含めた各種調整の状態が、アプリケーションを終了するとともに破棄されてしまいます。次に開いた時には、調整前の最初の状態に戻されてしまいます。作業を途中まで進めて、いったんアプリケーションを終了し、後日また再開するということができません。一度調整をスタートしたら、一気に現像まで行わないといけない流れになってしまっています。明るさやコントラスト等の調整を後日確認したり、修正したりすることができないので非常に不便です。これは、実は、PC本体に保存した画像だとそんなことはないのです。ということは、調整のパラメータを記録したファイルがうまく関連づけされない感じですね。初期設定か何かをいじればできたりするのでしょうか?そのオプションを見い出せないでいます。PC本体に画像は保存したくない(容量に限度がある)ので、とにかく具合が悪いです。
もう一点、RAW FILE CONVERTER EXで操作できるのは、RAWファイル(フジのRAWファイル)だけで、JPEGファイルの操作はできません。これらの点でトータルな使い勝手として難しい面があります。まあ、縦長3:4トリミングに関しては、上記の方法でRAWファイルに適用して、アプリを終了する前にそれらを現像することを忘れなければ、うまく処理できると言うことはできます。
RAWファイルを使うのはやめて、JPEGファイルを、別のソフト例えばOM Workspaceでトリミングし、その他の調整もするということにしたほうが、トータルな作業の流れはすっきりするかもしれません。フジのフィルムシミュレーションの風味を損なわないためには、RAWをRAW FILE CONVERTER等で現像せずに、撮影時のJPEGの方が良いらしいので、その意味でもJPEGで別ソフトを使うという流れが良いかもしれません。RAWで行える、より自由な調整ができなくなるので、この辺りはなかなか悩ましいところです。
*RAW FILE CONVERTER EXで調整状態を保存できない問題の解決策を見つけました。PC本体に保存した場合は、画像の調整を行うと画像ファイルが入っているフォルダー内に「SILKYPIX_DS」というフォルダーが自動的に作られ、その中に調整パラメータを記録していると思われるファイル(.spd)が画像毎に生成されていきます。私が使っている外付けSSDに保存した場合は、それがうまくできないようで、「SILKYPIX_DS」というフォルダが作られません。そこで試しに、撮影画像のファイルが入っているフォルダー内に「SILKYPIX_DS」というフォルダーを手動で作ってやると、そこに .spdファイルが勝手に保存されていくということがわかりました。これなら、とりあえずうまく使えそうです。
〔3〕完成
というわけで、一応、X-T1のハーフサイズカメラ化を実現できました。質感、操作感の良いX-T1で撮影がより軽快にできると期待します。X-T1は現行のX-T5等に比べるとボディーの角が面取りされたようなデザインになっていてコンパクト感も備えているので、ハーフサイズカメラの軽快さからそんなに隔たっていないと思います。レンズは今のところカラースコパー25mm(3:4トリミング撮影で35mm判換算55mm相当)だけなので、広い画角の18mm(同35mm判換算40mm相当)あたりがやはり欲しいところです。カラースコパー25mmはイメージサークル的に35mm判対応のものですが、X-T1のAPS-Cフルフレームで使った際に、画面周辺の画質はかなり悪いです。これをハーフサイズとして使えば画質の悪い部分をだいぶ無視できるので、この意味でも今回のハーフサイズ化は有効な手になったと思っています。